13話
雨の日は現場が休工になるため、営業に廻れるのは雨の日と日曜日だけ。
若かったので、それが辛いとか疲れるとか、マイナスな感情はなかった。
とにかく無我夢中で、よくやっていたなと感心してしまう。
雨の日訪問するときは、塗装ではなく「雨漏りしているところはありませんか?」と聞いて廻った。
当時は取引のある得意先はもちろん、知り合いで仕事を回してくれる人もいない。
同業者で知っている人といえば親方しか思い当たらない。
ひたすら訪問し、ただただ営業活動を続けるしかなかった。
当時はインターホンが付いている家は少なく、玄関ドアからの呼びかけに玄関先までは来てくれたが
塗装の話しをしても依頼してくれる人はいなかった。
雨の日は全身雨に濡れながら1日90~100軒程廻った。
いくら若いとは言え雨も相まって、ホトホト疲れて体力も気力も奪われていた。
つづく・・・・・